今日はフランスのコンセルバトワールで子供達にフォルマシオン・ミュジカルをご指導されている津覇江利菜先生の講座を受講しました。
フォルマシオン・ミュジカルとは、フォルマシオン=育成・教育、ミュジカル=音楽、”総合的音楽基礎教育”と日本語で訳されます。
フランスでは聴音や視唱などのソルフェージュ教育において、それらが出来ても必ずしも演奏に反映されないことから30年前に改革が始まりフォルマシオン・ミュジカルに移行しました。
音楽を総合的にとらえ「音楽史」「音楽理論」「聴音」「視唱」「リズム」「読譜」「楽曲分析」「即興」と、コンセルバトワールでは器楽のレッスンの他に週1回の授業が行われるとのことです。
幼児のクラスから始まり、10歳までが第1過程、テストを経て第2過程、第3過程へと進みます。
テストに合格できなければそこで退校となります。公的な機関であるため、授業料が格安で入校待ちの人数が多く、試験に合格できなければそこで終わりなんだとか。
日本の音大ではまだまだ「視唱」「聴音」のテクニックに偏ったソルフェージュの授業ですが、本場フランスではもはやそれは過去のもの。
実際の教育の現場でご指導されいている津覇先生のお話しをとても楽しみにして出かけました。
今日は実際の授業を受けました。
10歳以降の、第2過程で、2か月ほどかける内容を、今日は音楽指導者向けに短縮しての進行です。
題材はスティーブ・ライヒ「シティ・ライフ」
こういった現代曲も取り上げるとのこと。
まずは曲名は聞かされずに、CDを聞いて何の楽器が使われているのかを聞きます。
そこから「何の楽器があった?」さらに「前半と後半の違いは?」と質問が続きます。
後々に、津覇先生が「先生がしゃべってばかりの授業はダメ」との話がありました。
これは指導者研修の際や、ご自分が受けたレッスンでも強く感じたことだそうです。
教師が話してばかりだと、生徒は考えなくなってしまう。これは私も考えていることなので、とても共感しました。
話を戻して授業は進み、テーマを聴音します。
答えは16分音符と16分休符のみの譜面のはずが、16分休符が取れておらず・・・とても難しかった!
そこから、16分音符と16分休符の組み合わせは何種類あるのか?と広がっていきます。
こうやって能動的に考えたことがないなと改めて思いました。
楽しい授業です。
そして楽曲分析、ミニマム・ミュージックと旋法、作曲者スティーブ・ライヒは無調の音楽に反して作ったことや、非楽音として使われてた人の声「Check it out」とメロディの関係へ。
メロディを歌ったのちにカノンへ、そして実際に楽器を持って弾いて体験して、まさしく総合的に展開されていきます。
次から次へと、あっという間の時間でした。
その後、実際のレッスン風景の動画も拝見しました。
やはりというか、コンセルバトワールに入って1クラス10~14人でのレッスンで、すぐできる子がいれば、なかなか難しい子もいて、落第生が出てくることもお聞きしました。
その際のアフターフォローもするけれど、残念ながら11歳で第1過程のテストに合格できなかったら次へと進めないそうです。
コンセルバトワールは公立で格安で通うことができるから、そこは厳しい。でも街の先生もいて、コンセルバトワールより費用はかかるけれど、楽器を続けることは可能とのことです。
フランス人にとって「音楽をやっている」というのはステータスの高いことなんだそうです。
田舎のお爺さんに「楽器を勉強している」と言うと「おおっ」という反応が返ってくるほどのことで、コンセルバトワールに通っていると経歴に書くこともでき、何かと有利なんだとか。
最後に、バルトーク「44のデュオ」の課題を皆でやりました。
私はレッスンで使用しているので、思わぬところでバルトークの課題が出てきて楽しかったです。
最後に皆さんで集合写真。
後ろに高田美佐子先生もおられます。
主催の北井先生とともに、今日の講座の手配などをしてくださいました。
津覇先生のお話しをもっとたくさんお聞きしたかった。
またぜひ、日本で講座を開催していただきたいです。