私が主催するヴァイオリン指導マスタークラスでは、
繰り返し読譜の大切さや、読譜へ誘導、
または、ありがちなつまづきパターン、
さらにそれをどうやって克服するかを講義しています。
今年は全20回のうち6回が終了。
受講生は20代からベテランまで。
受講生からは本講座以外でも質問や相談メールが来ます。
そのやり取りでも思うのは、ヴァイオリンは読譜指導が難しい楽器だなと。
私自身が育った過程で経験があるのですが、
旋律楽器が故に、耳でメロディラインを覚えてしまい
ヴァイオリンで探り弾きを繰り返せば、
楽譜を見なくても、なんとなく弾けるようになるからです。
一見、弾けるようになっているので、
親御さんは子供の成長に喜び、
教師は気がつかず教材を進めてしまう
大きな落とし穴があります。
こういった子は、CDなどの模範演奏の情報が無くなると何もできません。
さらにある程度は進んでいるので、後戻りとフォローが難しく、教師はやり直しを決断しづらいです。
私のレッスン目標のひとつは、初見で弾けるようにすることです。
そんなの当たり前でしょと思われるでしょうが、これが意外に難しい。
この耳で覚えてしまい楽譜をよまなくなることを防ぐために、
CDなどの模範演奏を聞いてはダメ!と極端な指導をする方はいますが、
私はそこまでする必要はないと思います。
(曲のみのレッスンであればこうなってしまいます)
何事も最初が肝心で、レッスンのスタート時から読譜への準備と誘導がはじまっています。
丁寧に、丁寧に、
歌ったり、リズムをとったり、楽譜を見て、ドレミを歌う、リズムうちをする。
さらにこれらの楽譜の要素を、ヴァイオリンと結んでいきます。
私は最初からこういった丁寧なレッスンをしていたわけではないのです。
これらのヒントをもらった本があります。
タイトルが衝撃的ですが、内容はいかにソルフェージュが大切か、さらに、少ない練習時間で生徒が弾けるようになっていくその過程について語れています
私は、初めて弾く曲はかならずレッスン内で手始めの指導して帰します。
この時(特に導入期の子供には)すぐに楽器を弾かせることは絶対にしません。
ここがポイントです。
歌・リズム打ちが出来るようになってからではないと、楽器を持たせないのです。
その後、スケールワークで調性の仕組みへ誘導し、運指と楽譜の関係を結びます。
(フィンガーボード表「いまさら聞けないヴァイオリンの常識(音楽之友社)」P107)
さらにソルフェージュもレッスン内でやっています。
少しづつ、少しづつ、
この地道な作業がのちに大きな結果を作ります。
最近、悩みの種だった子が、思っていたよりもできるようになり、胸を撫で下ろしました。
早道はありません。
毎回のレッスンでの少しづつの積み上げを大切にすれば、
長い目で大きな結果を得られます。